「ないはずの記憶」とは?

「ないはずの記憶」とは、亡くなった大切な人のことを思い出しながら新しいエピソードをつくり、どれがいちばんその人らしいかを競うゲームです。「競う」と表現していますが、大事なのは勝ち負けではなくみんなで故人のことを思い出しながら、語り合い、自分の知らなかった故人の側面を発見し、思い出を語り合うこと。ゲームという体裁をとることで、気軽に語り合い、思い出す機会が増えるのではと考えてつくりました。一方で、悲しみは人それぞれ。決して無理はせず、ご興味ある方々でプレイしてみてください。

・プレイ人数:3〜20人
・プレイ時間:10分〜
・対象年齢:10歳〜


※不謹慎に思われる方もいらっしゃるかもしれません。その点は制作メンバー内でも様々な議論がありました。けれど、「人は2度亡くなる。1度目は生物学的に、2度目は思い出されなくなったときに」とも言われます。このゲームをつくったのも、思い出を語り合うことで新たな記憶を生みだしていければ、という思いからです。様々なご意見があるかと思います。よろしければ、ぜひ、ご意見・ご感想をお聞かせください。

naihazunokioku@gmail.com

こんなゲームです

カードがお題です

15枚の動詞カードの中から、お題となる動詞を選びます。

エピソードをつくります

故人のエピソードをそれぞれがつくります。実際にあったことでも、架空のものでもかまいません。

故人らしいものを選びます

いちばん故人らしいと思うものを、みんなで一斉に指差します。

こんなときに

ゲームの説明

01

回答用紙

1人1枚ずつ、回答用紙を配ります。ここに書かれていく内容が、亡くなったあの人の新しいエピソードになっていきます。

02

動詞カード

親が引いた動詞カードがお題となります。なぜそれを故人がしたのか、エピソードを考えます。爆笑した・ほくそ笑んだ・悔しがったなど全部で15種類あります。

03

エピソードを完成させます

回答用紙に故人の呼び名・お題となる動詞・その理由を書いて、どのエピソードがいちばん故人らしいかを競います。

04

故人らしいエピソードを選びます

いちばん故人らしいと思うエピソードを決め、一斉に指差して選びます。いちばん多く選ばれた人が動詞カードの得点を獲得です。全5回行い、合計得点がいちばん多い人の勝ちです。

05

大切なのは勝ち負けではなく

大切なのはみんなで故人の思い出話に花を咲かせること。盛り上がってゲームが中断してもかまいません。

各界の声

石田一裕さん

悲しい別れは私たちの心に刻まれます。ときどき思い出して寂しくなったり、悲しくなったりします。それは、悪いことではありません。寂しく思うのはその人と暮らした証であり、悲しくなるのはその人を大切に思っていた印です。亡き人を思い出し、誰かと語る。その時、その人は確かに私たちのそばにいます。この世とあの世は離れ離れだけど、私たちが紡いだご縁はしっかりとつながっています。
「ないはずの記憶」はそんなつながりを再確認する一つの手段です。このゲームを通して、皆さんの大切な人を思い出してみてください。ないはずの記憶は、あったかもしれない現実。そんな思いで、今は遠くにいるその人を近くに感じてほしいです。

よくあるご質問

Q.回答用紙がなくなったらどうしたらいいですか?

A.100枚単位で追加購入可能です。また、白紙を用意してゲームをすることもできます。

Q.どんな意図でこのゲームを制作したのですか?

A.説明書の制作後記にその思いを記しました。長いですが、ここに転載します。

【制作後記】
このゲームが生まれたのは、ヨネという小学校時代の友人が亡くなったことがきっかけだった。

式の当日、ヨネが亡くなったことをどう受け止めていいかわからず戸惑っていたぼくは、
仲間たちが少しずつ語る彼の思い出話に耳を傾けた。
自分の知らないヨネの側面に光が当たり、彼がなんだか生き生きと感じられた。

もっとあいつについて、話をしてみたい。
「ゲーム」という体裁だったら、気軽に話せるかもしれない。
そう考えて、実験的につくってテストプレイをしたら、思いの外、盛り上がった。

同じような場が増えるといいなと考え、今回、世の中に出してみます。
不謹慎だと感じる方もいらっしゃるかもしれない。
それでも、少しでもなくなった大切な人について語る場が増えるといいなと思う。

昔にこんな言葉を聞いた。
「さよならだけが人生ならば、また来る春は何だろう。」

思い出話に花が咲いたとき、あいつはきっとそこにいる。
そういうことなんじゃないかと今は思う。

Q.思い出に、勝ち負けをつける必要はありますか?

A.思い出は人それぞれ、感じ方も人それぞれで、そのどれもが正解。まちがったものは1つもありません。
その上で、あえて勝ち負けをつけるゲームという体裁をとったのは、その方が気軽にいろんな人が参加できるのでは、と考えたからです。その結果、故人について話す・語る・思い出す場が増える、そうなったらいいなと願っています。

Q.このゲームをやって、より悲しみが深くなりませんか?

A.故人を失った悲しみもまた、人それぞれです。もしかしたら、そのようなこともあるかもしれません。そのため、ゲームに参加される方はご自身の意志でやってみようと思われる方のみでお願いします。

このゲームは、自分の知らない故人についてもっと知りたい、人と話したい、自分にとってどんな人だったのかをたしかめたい、そう思えるときに、そう思える人たちと一緒に行いましょう。決して無理はしないでください。

Q.なぜ、文字の一部が欠けたデザインなのですか?

A.人は文字が欠けていてもそこを想像力で補って文字を読みます。「ないはずの記憶」も故人の思いを深く想像することで、より故人の人となりが見えてくる、そんな思いをデザインにも込めました。

Q.拡張パック「もしも私が死んだなら」はどんなものですか?

A.その名のとおり、「もしも私が死んだなら、お葬式ではどんなことが語られるだろう」ということをシミュレーションすべく、実験的につくったものです。亡くなった人ではなく、その場にいる人、あるいは共通の知人などのエピソードを生み出し、その人らしさを競っていきます。
基本的なルールは同じですが、カードの内容がよりネタ的なものが多くなります。「ないはずの記憶」のカードと混ぜて使用することも可能です。

クレジット

【ゲームデザイン】滝口勇也
【ゲームディレクション】滝口勇也・小林良丘
【企画・プロデュース】滝口勇也・小林良丘・原田絢子・中島優人
【アートディレクション】城﨑哲郎
【印刷】萬印堂

【special thanks】
ヨネ・ヨネのご家族・一龍・あきなおさん・ヤス・所さん・森さん・篠原さん・米光一成さん・木原隊長・増田さん・キム・髙倉家の人々・滝口家の人々

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